★2019.4.3(水) 第3回裁判前学習会

報告

安保法制違憲訴訟学習会

 

43日、名古屋学院大学教授飯島滋明氏を講師に学習会がありました。下澤悦夫原告共同代表の挨拶の後、「30大綱・31年中期防と安保法制」と題するお話がありました。

 

専守防衛を逸脱し敵基地攻撃能力の獲得へ

「防衛計画の大綱」とは10年を見据えた日本の安全保障政策の基本方針である。「中期防」とは、この大綱に基づく具体的な装備を示すものである。25大綱は安倍首相の指示のもと5年目での見直しが決まり、さらに30大綱、31中期防が作られた。

それまでの大綱には仮想敵国はなく、専守防衛のもと空中戦しかできないF15戦闘機などが領空を守るのみであった。ところが、2530大綱では中国と北朝鮮を名指しで警戒し、マルチファイターと呼ばれる空中戦とともに対地・対艦攻撃ミサイル(巡航ミサイル)を搭載した戦闘機にとって替わろうとしている。このミサイルの射程はなんと900kmである。

宮古島において、これまでの単なる偵察・警戒部隊に替わり、実際に打撃力を持つ地対艦ミサイル連隊などが新たに配備されようとしている。これは西南諸島をアジアにおけるアメリカの防衛ラインにしようとするものである。

イージスアショアを大都市から離れた秋田と山口に配備するのはなぜか。それは大都市を守るためではなく、それぞれがハワイとグアムへ向かうミサイル弾道の下にあるからである。このように自衛隊の戦力はアメリカの「総合ミサイル防空能力」の一環に組み込まれようとしている。

敵基地攻撃能力に必要なものはミサイル、戦闘機、空母だけではない。戦闘の頭脳や目となる情報収集衛星、監視レーダー、情報通信ネットワークを含めた「多次元統合防衛力」が進められている。ここでも専守防衛の枠を超えて、キラー衛星、サイバー攻撃、電磁波攻撃など攻撃力の強化が計られている。

 

世界中で戦争できる戦力へ

海外邦人救出のためオスプレイを導入しようとしているが、邦人救出が戦争を始める理由となる恐れがある。20192月シナイ半島へ自衛隊を派遣することが決まったが、ISとの闘いに巻き込まれる恐れがある。

 

国を守って国民を守らず

25大綱では、石垣島において島が攻撃された場合、自衛隊員3800人のうち2901人が戦死し、さらに市街地を巻きもむ戦闘が想定された。この作戦において避難や撤退は想定外である。

安倍自公政権以前、軍事費は11年連続で減少していた。ところが安倍自公政権下7年連続で増加している。財政赤字と社会の格差が進むなか全く国民生活を顧みない政策である。

戦争は装備だけではできない。特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安保法制、共謀罪と戦争のための法律が作られた。孤立した人間はマス・メディアの影響を受けやすいものである。このままでは国家が国民の上に存在し、戦前のように国防が国民の義務となってしまう。

安保法制違憲訴訟には「世界中で戦争できる国づくり」を進める安倍自公政権の危険性を提起する役割がある。

最後に松本篤周弁護団事務局長よりお話がありました。

平和憲法を文字通り解釈すれば陸・海・空軍は憲法違反である。しかし、これを自衛隊と呼びごまかしてきたが、その軍備を増強し、ごまかしきれなくなったのが現状である。そして憲法改正が最後のごまかしである。もし、憲法が改正されれば、ごまかす必要もなく軍備は増強され、その行き着く先は戦争である。 

 

防衛大綱と中期防を読み解く

  お 話:飯島滋明さん

  (名古屋学院大学教授)

 

 と き:4月3日(水)

     18:30~20:30

 ところ:イーブルなごや 視聴覚室

   地下鉄名城線「東別院駅」1番出口より

   東に徒歩約5分

 参加費:500円

 

   ちらしは⇒こちら

 

 安倍政権のもとで、軍事費は増大し続け、昨年12月には防衛大綱と中期防計画を発表しました。この中で、戦闘機の運用可能な「いずも」の空母化、垂直離着陸機F35Bの新規導入、長距離巡航ミサイルの導入など、これまで政府が言ってきた「専守防衛」の範囲を大きく超える軍備を備えようとしています。自衛隊の装備面での実質的改憲とも言える防衛大綱と中期防について飯島さんのお話を聞きます。ぜひご参加ください。