安倍政権は、2015年9月、多くの憲法学者が違憲とし、国会内外で大きな反対運動が起こる中、憲法で禁止されている集団的自衛権が行使できる安保法制(戦争法)を強行採決しました。これに対して、全国計21地域24の裁判所で約7200人が原告になり「安保法制違憲訴訟」を起こしています。
これまで愛知では安保法違憲訴訟を提起してきませんでした。しかし、安倍政権が憲法9条を改正し、集団的自衛権を行使できる自衛隊を憲法に書き込むという「改憲」を行おうとしている今こそ、改憲反対の運動の柱として、安保法違憲訴訟を提起する意義があります。安保法制の成立後、「戦闘」状態の南スーダンへの「駆けつけ警護」と「宿営地共同防護」の任務を付与した自衛隊の派遣、朝鮮情勢が緊迫する中、平時に米国の艦船などを守る「武器等防護」や頻繁な米艦への給油などの日米の軍事的な一体化が進められています。敵基地攻撃ができる巡航ミサイルや、最新鋭のステルス戦闘機F35の導入、空母の保有など自衛隊の「外征軍」化が目論まれています。改憲反対運動の中で出会う様々な疑問や反対意見に対して、訴訟は事実でも理論的にも説得の重要な材料を提供してくれます。なにより定期的に開かれる裁判はそれ自体、重要な学習会であり、期日の間に開催する様々な学習会は私たちの改憲反対運動を豊かなものにしてくれるでしょう。
日本国憲法の正念場である今、10年前、イラク自衛隊派遣違憲名古屋高裁判決を勝ち取った愛知で違憲訴訟を起こしましょう。既に弁護団準備会が結成され準備が進んでいます。4月12日には、提訴に向けて安保法制施行後の自衛隊の実態と裁判の意義を確認する集会を開き、原告やサポーターの募集も開始しました。多くの方の参加をお願いする次第です。
青山邦夫(弁護士、元イラク訴訟裁判長)
飯島滋明(名古屋学院大学教授・憲法学)
内河恵一(弁護士、元イラク訴訟弁護団)
大脇雅子(弁護士、元参議院議員)
柄多貞介(弁護士、元裁判官)
高橋信(愛知県平和委員会)
水野桂(東海民衆センター)
中谷雄二(弁護士、安倍内閣の暴走をとめよう共同行動共同代表)
松本篤周(弁護士。本訴訟弁護団呼びかけ人)
山本みはぎ(不戦へのネットワーク)